第5章 怪異迷宮
「お気をつけて……帳を下ろします」
伊地知が闇より出て、と唱え、少年院の周りが夜に覆われていく。
「夜になってく!」
その様子に感嘆する虎杖に伏黒が淡々と説明した。
「帳だ。今回は住宅地が近いからな。外から俺達を隠す結界だ」
「アンタ、本当に無知ね」
野薔薇がたしなめる。
取り残された5人の受刑者の生存確認。
呪胎が変態していたら、特級呪霊相当になっている可能性がある。
呪霊から逃げながら生存者を探すとなると、探知能力は必須。
伏黒は影絵を作り、玉犬・白を呼び出す。
「呪いが近づいたらコイツが教えてくれる」
遠吠えとともに伏黒の影から出てきた玉犬を虎杖がよしよしと撫でた。
「そっかそっか、頼りにしてっからな」
「第二宿舎」の表札が掛かったドアを開けて、伏黒と玉犬を先頭に4人は少年院の中に入った。
最後尾のなずなが内側からドアを閉める。
「……えっ?」
そこにはおよそ少年院の中とは思えない光景が広がっていた。