第5章 怪異迷宮
虎杖、伏黒、野薔薇、なずなの4人は任務のため、西東京市にある英集少年院に来ていた。
補助監督である伊地知から、改めて任務内容が説明される。
「我々の窓が呪胎を確認したのが3時間ほど前。避難誘導9割の時点で、現場の判断により施設を閉鎖。半径500m以内の住民も避難が完了しています」
「伊地知さん、質問。窓って何スか?」
「窓というのは、術師ではないものの、呪いを視認できる高専関係者のことです」
虎杖はなるほどと頷く。
「続けますよ。受刑在院者第二宿舎、5名の在院者が現在も呪胎とともに取り残されており、呪胎が変態を遂げるタイプの場合、特級に相当する呪霊になると予想されます」
特級、という言葉に身構える。
「なあなあ、俺、特級とかまだイマイチ分かってないんだけど?」
本当によく分かっていない様子の虎杖に他の3人は力が抜ける。
伏黒と野薔薇はあからさまにため息も漏らした。
伊地知も咳払いして説明する。
「では、馬鹿でも分かるように説明しましょう」
通常の兵器が呪霊に有効と仮定した場合
・四級
木製バットで余裕
・三級
拳銃があればまあ安心
・二級
散弾銃でギリ
・一級(準一級)
戦車でも心細い
・特級
クラスター弾での絨毯爆撃でトントン
「……やべーじゃん」
虎杖もやっと事の重大さを認識して息を呑む。
クラスター弾の絨毯爆撃レベルなんて、この中でできる人間がいるとは思えない。むしろそんな人間いるのか。