第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
伏黒の案に3人ともうなずいたのを見て、1年生達の成長を感じた伊地知は、細かい懸念事項も共有しておく。
「生贄の儀式は明日の深夜に行われる予定です。ただ、どういった手順を踏んで儀式が行われるか等は明らかになっていません。また、村には今回の任務のことを伝えていますが、なにぶん保守的な村なので、皆さんに非協力的な可能性は十分あります」
いざという時は儀式の最中に乱入し、生贄を攫って呪霊から引き離して戦うことも念頭におき、班分けを考える。
「呪霊は3人がかりで、護衛を1人にする?」
呪霊の方に戦力を割こうとするとそれが一番だ。
しかし、そう考えたなずなに対して伏黒は少し考えている。
「いや、呪霊の結界の中で戦うとなると、何が起こるか分からねぇから、呪霊相手は2人、護衛も2人にした方がいい」
村の中は結界術を操る呪霊の手の内。
不測の事態として、呪霊が戦っている自分達を置き去りにして生贄の元に行くことだってあり得る。
そうなった時に護衛役1人で呪霊と戦うリスクは避けたい。
「じゃあ祓除班と護衛班は誰にしよう?……あ、呪霊がどんな攻撃をしてくるか分からないから、その場で臨機応変に分かれるのがいいかな?」
「無策は少し不安だ。ある程度状況別にパターンを決めて、どの状況に近いかで判断するぞ」
呪霊が近接戦闘で強いか否か、
遠距離戦ができるか否か、
打撃、斬撃など、特定の攻撃に対して耐性があるか否か、
多重に結界を張り、こちらを分断してくるか否か……
途中で虎杖が「俺、覚えられるか不安」とギブアップしたので、ざっくりとパターン分けと班分けをしたところで、それ以上は断念。
伊地知と伏黒から結界術についていくつかレクチャーを受け、ブリーフィングは終了した。
「それでは明日の朝食が終わり次第、無垢蕗村へ出発します。皆さん、今夜はしっかり休んでくださいね」