第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
「虎杖くん、さすがの足の速さだね……」
「ったく、アイツ、夕食の懐石料理見てなかったの?」
豪華な夕食の前に間食など言語道断だと野薔薇は鼻を鳴らした。
「先行くわよ」
「で、でもちょっと待ってた方が……」
「次に行く場所は伝えてあるし、食い終わったら追いついてくるだろ」
虎杖もこちらの意図に気づいたのか、手で「先に行ってて」と合図している。
そして、伏黒の言った通り、3人が次の足湯に入る頃には虎杖も追いつき、4人揃って旅館まで帰ることができた。
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「温泉卵もうまかったけど、こっちもうめー!飯おかわりできんのかな?」
「アンタ、まだ足んないの!?」
普段はなかなかお目にかかれない豪華な懐石料理の夕食を堪能しつつも、食べ盛りの男子には足りなかったらしい。
早速おかわりできるかを確認しに席を立った虎杖がお櫃を持って戻ってきたので、野薔薇が更に呆れ返る。
ちなみに伏黒もまだ食べられないこともないが、さすがに遠慮の方が勝ったため、おかわりは辞退した。