第16章 断章 極彩
呪霊の口から虹龍を切り裂いた刀が再び出てくる。
そこからは一瞬だった。
甚爾は天逆鉾を投げ上げ、背後の口裂け女を取り出した刀で両断。
逆鉾を反対の手で取って、新たな呪霊を出せないように夏油の胸を十字に斬り、更に蹴り飛ばす。
その衝撃に耐えきれず、夏油の意識はそこで途切れた。
「術師なら死なねぇ程度に斬った。式神使いなら殺したが、呪霊操術となるとな。オマエの死後、取り込んでた呪霊がどうなるか分からん。ここで面倒事は避けたい。親に恵まれたな」
そう吐き捨てて、気を失った夏油の顔を蹴る。
「だがその恵まれたオマエらが、呪術も使えねぇ俺みたいな猿に負けたってこと、長生きしたけりゃ忘れんな」
呪具を全て格納したところで、甚爾ははたと思い出した。
「あーそうだった……恵って、俺が名付けたんだった」
同じ頃、重傷を負って血溜まりに沈んでいた五条の指が微かに動いた。