• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第16章 断章 極彩



覚悟を決めた理子の目にはもう涙はない。


その顔を見て、夏油は最後に言おうと決めていた言葉を紡いだ。


「……それか引き返して、黒井さんと一緒に家に帰ろう」

「……え?」


思いもよらない提案に理子は一瞬理解が遅れた。

夏油の方を見るが、彼は大樹を見つめたまま、表情を変えずに続ける。


「担任からこの任務の話を聞かされた時、あの人は“同化”を“抹消”と言った。あれは、それだけ罪の意識を持てということだ。うちの担任は脳筋のくせによく回りくどいことをする」


つまり、理子を殺すのと同じ覚悟を持って臨め、と。

最初に夏油達には荷が重いと言っていたのは、任務の難易度ではなく、この罪の意識のことだったのだ。


「君と会う前に悟との話し合いは済んでる」


最初に理子がいたビルが“Q”によって爆破される前、その敷地内の自販機の前で、夏油は五条にある仮定を話していた。











「星漿体のガキが同化を拒んだ時ィ!?」


小銭を手の中で遊ばせる五条が少し考える素振りをする。


「……そん時は同化はなし!」


気持ちいいくらいに言い切った五条を見て、夏油は喉の奥で笑った。


「いいのかい?」

「ああ?」

「天元様と戦うことになるかもしれないよ?」

「ビビってんの?……大丈夫、なんとかなるって」


誰が敵になろうが関係ない。

たとえそれが呪術界の根底を支える存在だとしても、五条と夏油なら負ける気がしない。


2人の瞳にはその自信に満ちていた。











「私達は最強なんだ」


「理子ちゃんがどんな選択をしようと、君の未来は私達が保障する」



/ 1120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp