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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第16章 断章 極彩



よく覚えてたもんだ―


10年程前、まだ俺が禪院家にいた頃、五条家に生まれた六眼のガキを面白半分で見に行ったことがある。


母親か使用人か分からないが、着物の女に手を引かれた白髪のそのガキがこちらを振り向いたのには驚いた。


後にも先にも背後に立った俺が気取られたのはこの時だけだった。



だから削った
オマエが鈍るまで




腹に刺した刀を呪力で固定される。

そして甚爾は吸い込まれるように後ろに引っ張られた。


飛ばされた先には大口を開いた呪霊。


外での対応は間に合わないと踏んで、おとなしく飲み込まれる。









「悟!」


駆け寄る夏油を五条は手を上げて制止する。


「問題ない。術式は間に合わなかったけど、内臓は避けたし、その後呪力で強化して刃をどこにも引かせなかった」


そう言って刀を引き抜く表情はかなり痛そうだ。


「ニットのセーターに安全ピン通したみたいなもんだよ。マジで問題ない。天内優先、アイツの相手は俺がする。傑達は先に天元様の所へ行ってくれ」



刺客を飲んだ呪霊がピクと震える。

まだ仕留められていない。
今にも出てきそうな気配だ。


「……油断するなよ」

「誰に言ってんだよ」


不敵に笑った五条をその場に残し、夏油は理子達を連れて、高専最下層を目指して走り出した。



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