第4章 宿儺の器と鉄骨娘
当たり前だが、廃ビルの中には人気がなく、しんとしている。
その中を野薔薇を先頭に呪霊を探し歩く。
虎杖となずなはその少し後ろを歩いていた。
「五条先生も言ってた通り、呪具は呪いの籠もった武器で、呪霊を攻撃できるの。呪術師と同じように等級があって、それが高いほど頑丈だったり、強力な攻撃が……」
「おーい、釘崎待てって」
なずなが呪具の説明している間に野薔薇はどんどん先へ進んでしまう。
野薔薇からすれば、東京観光ができると思っていたのに、こんな所で呪霊討伐に駆り出され、うんざりなのだ。
「時短時短。二手に分かれましょ。私は上からワンフロアずつ調べるから、あんた達は下から」
早く終わらせて銀座で寿司が食べたいのと言っている野薔薇に緊張感はない。
「ちょっと待てよ。もうちょい真面目にいこうぜ。呪いって危ねーんだよ」
「最近までパンピーだったヤツに言われたくないわよ!さっさと行け!!」
たしなめられてカチンときた野薔薇が虎杖を蹴っ飛ばす。
「ちょ、野薔薇ちゃん!?」
「今日ずっとオマエの情緒が分っかんないんだけど!?」
虎杖もすぐに起き上がる。
「だーかーらモテないのよ!!」
そう吐き捨て、野薔薇は上の階に上がってしまった。
「なんで俺がモテないって知ってんの?つーか、オマエは言うほどモテるのかよ……」
「だ、大丈夫……?」
クソがと毒づく虎杖に喧嘩に慣れていないなずなは戸惑うばかりだった。