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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第4章 宿儺の器と鉄骨娘



あれ?と今度は虎杖が首を傾げる。

「でも呪いは呪いでしか祓えないんだろ?俺、呪術なんて使えねーよ」

「君はもう半分呪いみたいなもんだから、身体には呪力が流れているよ……まあでも、呪力のコントロールは一朝一夕にはいかないから、これを使いな」

五条が虎杖に大振りの短剣のようなものを手渡した。

「呪具『屠坐魔』呪力の篭った武器さ。これなら呪いにも効く」

おお、と小さく歓声を上げる虎杖を尻目に野薔薇はダサと呟き、ビルの入口に歩いていってしまう。


なずなも鬼切を制服のベルトに吊るして準備していると五条から呼び止められた。

「なずな、呪具のアレコレを悠仁に教えてやって」

「それって五条先生の仕事じゃない?」

しかし、五条は虎杖の指摘もどこ吹く風と言わんばかりの態度でのたまう。

「ほら、僕ってば呪具使わないし、実際に呪具を使うなずなの方が適任でしょ?」

「分かりました」

適任かどうかはさておき、初めて呪具を渡されて、説明もなしでは虎杖も戸惑うだろう。

なずなは二つ返事して、野薔薇の待つビルの入り口へ駆けていった。




「あぁそれから悠仁、宿儺は出しちゃダメだよ。あれを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど、近くの人間も巻き込まれる」

「分かった、宿儺は出さない」


頷いた虎杖を伏黒が呼び止める。

「虎杖、渡辺を絶対に1人にさせるなよ」

「へ?……あー、うん、よく分からんけど、分かった」


野薔薇に急かされ、虎杖も小走りでビルに向かっていった。





シャッターを開いて廃ビルに入る3人を見届けた後、五条が伏黒に向き直った。

「恵、ちょっと過保護なんじゃない?なずなだって1人で十分戦えるでしょ」

むしろ近接戦闘は伏黒より得意というのが五条の見立てだ。


だが、伏黒が懸念したのは戦う戦わないということではない。


「竹下通りでも迷子になるんですよ」

こんな廃ビルで1人になれば、どこへ迷い込むか分かったものではない。
最悪ビルの外に迷い出る可能性もある。

入学から2ヶ月と少し、なずなのひどい方向音痴を一番近くで見てきた伏黒の言葉は重かった。



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