第16章 断章 極彩
有無を言わさず出ていけってことか……
しかし呪詛師が来ている手前、こっちも引き下がる訳にはいかない。
と思っていたら、教師から小さなメモを差し出される。
「あとコレ、私の電話番号」
これは五条も予想外だ。
面白くないのは生徒達である。
「おぉーい!条例違反!!」
教師の抜け駆けに猛抗議の声を上げる。
だが、教師も教師で退かない。
「るせー!教職の出会いのなさナメんじゃないわよ!」
「それは私達だって同じでしょ!?教師が年下趣味とか見損なったわ!!」
「はぁ!?光源氏ディスってんの!?」
そのどさくさに紛れて五条は理子を掴んで素早く礼拝堂を出た。
「賑やかな学校だな」
「馬鹿者!あれほど皆の前に顔を出すなと……」
「呪詛師襲来、後は察しろ。このまま高専行くぞ、友達が巻き込まれんのは嫌だろ」
理子は口を噤む。
同化のことは言えないが、できることならおしゃべりして、授業を受けて……最後まで日常を送りたかった。
でも呪詛師が自分を狙ってきたのなら話は別だ。
五条の言う通り、理子だって友達に傷ついてほしくないのだから。