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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第16章 断章 極彩



夏油は監視の呪霊を祓ったと思しき式神使いの老人を見下ろした。

その老人は“Q”の戦闘員のような軍服軍帽ではなく、作務衣を着ている。

口から血を流しているのは先程夏油が殴り飛ばしたからだ。


「アンタ“Q”?それとも盤星教?」


そう尋ねながら夏油は顎に手を当てる。


“Q”の残党……というには格好が普通すぎる。

“Q”以外でこの学校を狙ったとなると盤星教だが、高専からの事前情報では盤星教は非術師の集団のはずだ。

盤星教が術師を雇ったのか?



「……何だそれは?」

「とぼけるな、こっちは忙しいんだ」


まだ呪霊を祓った不審者が1人残っている。
時間稼ぎに付き合う気はない。


呪霊を使って老人をギリギリと縛り上げると、老人の顔にも焦りが出てきた。


「ほ、本当に何も知らんのだ!」

「じゃあ、狙いは何だ?どうしてここを狙った?」

「天内 理子とかいう生徒の暗殺だ!明後日の11時まで懸賞金がかけられてるんだ」

「……懸賞金?」


雇い主がいるのなら懸賞金というのは少し違和感がある。


……どうやらもう少し聞き出す必要がありそうだ。


夏油は老人が襲撃に使っていたナイフを拾い、老人の喉に突きつける。


「仲間は1人か?もっといるのか?」

「仲間などいない!」


言い切った老人に突きつけたナイフを更に押しつける。
うっすら血が滲むのを確認し、夏油は声を低くした。


「嘘をつくな」

「う、うう嘘じゃない!儂は懸賞金の情報を見てここに来ただけだ!」


老人の怯え様は演技らしくはない。


最初会敵した時、この老人は夏油の服装を見てすぐに呪術高専の制服だと判断していたし、素人とは思えない程度には動けていた。


監視の呪霊を祓ったもう1人が仲間ではないとすると、この老人と同じように懸賞金に釣られてきた呪詛師。



“Q”や盤星教を知らない呪詛師まで理子を狙っているとなると面倒だぞ……!



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