第16章 断章 極彩
五条、夏油、黒井の3人は学院の中を走っていた。
「天内は!?」
「この時間は音楽なので、音楽室か礼拝堂ですね」
「レーハイドウ!?」
「音楽教師の都合で変わるんです。あとここはミッションスクールです」
聞き返した五条に黒井は息を切らさずに答えた。
ミッションスクールーキリスト教系の学校ということだ。
それであれば音楽の授業に礼拝堂を使うのも納得がいく。
だが、護衛対象がどこに行ったのか分からないというのは、任務上非常に困る。
「だから目の届く範囲で護衛させろっつったのに、あのガキ!」
「申し訳ありません。移動の度にメールするよう言ったのですが……」
急いでいたのか、友人とのおしゃべりに夢中だったのか、理子からは何の連絡もきていなかった。
肩を落とした黒井の隣で夏油はここからどう動くべきかを素早く組み立てる。
「悟は礼拝堂、黒井さんは音楽室、私は正体不明の2人を」
「承知致しました」
まず夏油が呪霊が祓われた場所に向かうために分かれる。