第4章 宿儺の器と鉄骨娘
連れてこられたのは六本木近辺の廃ビル。
「いますね、呪い」
外から見ても明らかに呪霊の気配がしている。
「嘘つきーッ!!」
「地方民の心を弄びやがってーッ!」
六本木の夢を打ち砕かれた虎杖と野薔薇は抗議の声を上げる。
一方で伏黒となずなは妙に納得していた。
なずなに鬼切を持ってこさせたのは、このためだったのだ。
「近所にでかい霊園があってさ、廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ」
「やっぱ墓とかって出やすいの?」
「墓地そのものじゃなくて、墓地イコール怖いって思う人間の心の問題なんだよ」
虎杖の質問に答えたのは伏黒だった。
「あぁ、学校とかも似た理由だったな」
「ちょっと待って、コイツそんなことも知らないの?」
怪訝そうに聞いてきた野薔薇に伏黒が実は、と虎杖が宿儺の指を飲み込んだことを話した。
「特級呪物を飲み込んだ!?」
ムリムリと虎杖から距離を置く野薔薇。
虎杖の衛生観念を疑う声に伏黒も静かに同意した。
「君達がどれだけできるか知りたい。ま、実地試験みたいなもんだね。野薔薇、悠仁、なずな、3人で建物内の呪いを祓ってきてくれ」
五条の言葉に野薔薇は顔をしかめる。
「俺も行きますよ」
1人外された伏黒が手を挙げるが、五条は遮る。
「恵は病み上がりでしょ?無理しなさんなって」
事実ではあるが、病み上がりというのは建前で、伏黒がいると簡単に解決してしまうからだ。
それでは実地試験にならない。