第16章 断章 極彩
「あの喋り方だと友達もいないじゃろ」
「快く送り出せるのじゃ」
特徴的な理子の口調をわざとらしく真似る2人に理子もムキになる。
「学校じゃ普通に喋ってるもん!」
あ、と黒井が少し眉を寄せる。
理子が気づかないようにできるだけ口に出さないでいたのに、と思った時には既に遅く、理子は自身の口から飛び出した単語にハッとした。
「……学校!黒井、今何時じゃ!?」
「まだ昼前ですが……やはり学校は……」
「うるさい!行くったら行くのじゃ!」
同化まではあと2日。
夜蛾からは理子の命を狙う連中に居場所が割れたと聞いている。
当然、理子の通う学校にも襲撃が来るはずだ。
理子を高専に匿って護衛するものだと考えていた2人もこれには驚く。
「理子ちゃん、高専の方が安全だよ?」
「嫌じゃ!!」
その後説得を試みたものの、理子は学校へ行くと言い張って聞かず、結局五条達が折れざるを得なかった。
「お嬢様の学校は女子校ですが、状況が状況ですし、お二人がお嬢様を近くで護衛できるよう先生方にお願いしてみましょうか?」
黒井とて理子の命が危うい状況で通常通りに学校へ行かせることに抵抗がある。
せめて目の届く範囲で護衛できるよう、教室に入る許可くらいならと黒井が協力的な姿勢を見せる。
しかし、理子はそれにも断固反対した。
「ダメじゃ、黒井!学校の友達にこんな変な連中と一緒にいるところなんて見せられぬ」
「こんの……!本当ワガママなガキんちょだな!」