第15章 恋する乙女は突然に
「……私は、こういうこともあるんだなって、ちょっとびっくりしちゃった」
「こういうことって、優子のこと?」
「うん、えっと……中学時代の同級生の子が、高校生になってから好きな人に想いを伝えようとしていること、というか……」
伏黒くんのことを想っている誰かが今後現れないとは限らない―……
そんな焦りがなずなの中で芽生え始めていた。
またスカートを弄っているなずなに野薔薇は悪い笑みを見せる。
「なずな〜、これはいよいよ危ないんじゃ……」
「なぁなぁ、時間ちょうどいいし、映画観に行かねー?」
「アンタ、邪魔すんじゃないわよ!」
「痛って!」
野薔薇は話の腰を折って映画に誘ってきた虎杖の背中を叩くが、虎杖にはそれほどダメージはない。
伏黒も何を観るんだと興味を示したので、なずなをからかうタイミングを失った野薔薇も渋々同意する。
そして、4人で映画を観た直後、五条から胡散臭い“極秘任務”の緊急招集がかかり、野薔薇もなずなも当初の目的は果たせずじまいとなってしまった。
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