第15章 恋する乙女は突然に
「あと、部屋にグラビアポスターが貼ってある。彼女いる奴ってそういうの貼らないんじゃねぇか?相手が嫌がるだろ」
思い当たるもうひとつの根拠を話し、コーヒーに口をつけると、なぜか野薔薇が不憫そうに眉を寄せている。
「……伏黒って、女子の前でだけカッコつけてブラックコーヒー飲むタイプ?やめなよ」
「俺の話を聞きたくて呼んだんだよな?いつも飲んでんだよ」
苛立ちながら野薔薇をたしなめると、今度は優子がおずおずと尋ねてきた。
「あの、ちなみに好きなタイプとか……」
「あー、背が高い子が好きって言ってたな」
本当は“ケツとタッパのデカい女の子”と言っていたが、そこは少しオブラートに包む。
“背が高い子”
これはいいことが聞けた。
カッチーンと乾杯する野薔薇と優子。
「勝算アリ!虎杖を召喚するわ!!いいわね、優子!」
「はい!」
野薔薇がスマホをテーブルに出し、早速虎杖にメッセージを送る。
今いるファミレスのURLと「来い」の一言。
虎杖からすぐに「なんで?」と返ってくるが、さらに「来い」と送ると了解の返信が入る。
その短いやり取りに優子は思わず呟いた。
「……淡白ですね」
「そう?」