第15章 恋する乙女は突然に
「おい、なんなんだよ」
いきなり呼びつけられた伏黒は、指定されたファミレスで野薔薇達を見つけ、不機嫌を露わにした。
しかし、それを気にする野薔薇ではない。
隣で謝ろうとしたなずなを制止して、本題を伝える。
「オッス伏黒、虎杖って彼女いるー?」
「は?」
「実はこの子がかくかくしかじか……」
今まで優子と話したことをかいつまんで説明すると、伏黒も野薔薇の質問の意図を理解した。
「!つまり、そういうことか!?」
「ええ、そういうことよ!!」
やはり15歳の男子高生、友人のことが気になっている異性がいると聞けば、伏黒も無関心ではいられない。
早速ホットコーヒーを注文して席に座り、しかし向かいになったなずなが赤い顔をして黙り込んだことには気づかずに、虎杖についての見解を話し始めた。
「彼女はまずいないだろ」
「根拠は?」
「急に東京に来ることになっても特に困った様子なかったし……」
虎杖は宿儺の指を飲み込んだ翌日に呪術高専への転入が決まり、その日のうちに東京に越してきた。
伏黒は先に高専に戻り、怪我の治療をした後に寝入っていたが、虎杖と五条の賑やかな声に起こされたのだ。
交際している相手がいるならこうもあっさりとはいかないだろう。