第15章 恋する乙女は突然に
上機嫌で通話を切ると、テーブルに肘をついて手を組み、また神妙な顔に戻る。
「今から私達より虎杖に詳しい奴が来るわ。まずはソイツに話を聞きましょ」
「ふ、伏黒くん呼んだの!?」
予想外の展開に慌て始めるなずなを野薔薇は有無を言わさずシャットアウトする。
「今は優子のことでしょ!それにアンタ、最近は伏黒と普通に喋ってんじゃない」
「い、いきなりはちょっと……こ、ここ、心の準備が……」
「いい加減ウジウジするのはやめなさい!そんなんじゃいつまでも進展しないわよ?」
野薔薇の言動や緊張で冷や汗をかき始めたなずなの顔が分かりやすく赤くなったのを見て、優子もなんとなく事情を察する。
渡辺さんはこれからここに来る人のことが……
そして虎杖を見かけた時のことを思い出す。
目の前にいる2人と楽しそうに話していたっけ。
……そこで優子はある可能性に思い当たった。
もし、もしも釘崎さんが虎杖君に想いを寄せていたら?
……私、今とんでもないことを頼んでいるんじゃ……?
「あのっ、もし釘崎さんも虎杖君のこと……」
「ない。天地がランバダ踊っても、ない」
即答で全面否定された。
一方、言い切った野薔薇は何やら胸がモヤつくのを感じた。
なんか今、胸がもやっとした……不整脈かしら?