第15章 恋する乙女は突然に
野薔薇となずなは虎杖と中学の同級生だったと言う小沢 優子とともに近くのファミレスに入っていた。
「コレ、中学卒業式の時の私です」
見せられた画像にはセーラー服を着たふくよかな女の子。
正直なところ、ぽっちゃり体型だ。
とても目の前の人物と同じとは思えない。
「えっ!知り合いとかではなく……?」
「マジィ!?半年前でしょ?何がどうしたの!?」
「いやぁ、その時から身長だけ15cmくらい伸びまして……それと東京に来て、環境変化のストレスでみるみる……」
優子は照れながら頭を掻いている。
声をかけられた時も感じたが、優子は2人よりも頭ひとつほど背が高い。
低めのヒールを履いていることを考慮しても160cm後半はありそうだ。
しかも体型も細身なので、今の着こなしもよく似合っている。
改めてスマホの中のぽっちゃりな女の子と見比べても同一人物とは信じられなかった。
2人が優子のスマホを見つめ、同じような顔で驚きの声を漏らしていると、野薔薇が画像の隣に見切れている人物がいることに気づいた。
そして縮小して更に驚く。
「虎杖じゃん」
そこには卒業証書を片手に持った虎杖が写っていた。