第15章 恋する乙女は突然に
しかし、そんな疑問もなずなの次の言葉で解消する。
「野薔薇ちゃん、いつもきれいにお化粧してるから、どんな物買ってるのかなって思ってて……わ、私にもできないかなって」
なるほど、生真面目ななずなも好きな男子には可愛く見られたいということか。
「なずな、見様見真似でやるつもりなら大変よ?私に合う物がアンタに合うかなんて分からないし」
野薔薇となずなでは肌の色味も少し違うし、リップだって色合いによってだいぶ印象が変わる。
初めてなら尚更、専門家に聞いた方がいい。
「そういうことなら店員さんに聞くわよ。私より詳しいだろうし」
「で、でも野薔薇ちゃんの買い物の邪魔しちゃわないかな……?」
「友達でしょ?迷うんだったら相談乗るし、遠慮なんかしなくていいわよ」
「ありがとう……!」
当然だと言わんばかりに肩をすくめた野薔薇の言葉になずなは甘えることにした。
まずは野薔薇の行きたいブランドショップに向かおうと2人が歩き出したその時―
「あのっ、スミマセン……さっき虎杖君と一緒にいませんでしたか?」
「……へ?」
明るい髪色のスラリとした背の高い少女に声をかけられた。