第14章 最強の教示
……これはもしかしてチャンスなのでは?
なずなの頭にふと閃いた。
今なら五条先生の攻撃を予測することも避けることも考えなくていい。
これまで打ち合いに費やしていた思考をすぐに切り替える。
この機を逃したら、次いつ先生が私に考える時間をくれるか分からない。
考えろ、鬼切の呪力を馴染ませるためにどうすればいいか……!
私と鬼切の呪力は一緒だとイメージする?
でも初めに五条先生から指摘された通り、きっと私は心の底からそう思うことはできない。
……だったら、イメージの仕方を変えよう。
私自身を鬼切に寄せるとしたら……
鬼切に私の呪力を流すイメージ?
……それじゃ今までとそんなに変わらない気がする。
……私は一振りの刀。
深く息を吐いて鬼切を握ると、それに呼応するように鬼切が脈打つ。
五条先生の周りには見えない無限。
でもずっと私の攻撃は阻まれているのだから、その無限に触れることはできる。
触れるのなら斬ることだってできるはず。
なずなの集中力は研ぎ澄まされ、冴えていく。
私は無限を断つ刀……!
反撃されたらとか、投げ飛ばされたら次はどうするといった思考まで削ぎ落とす。
そして、ただ専心して鬼切を振り抜いた。