第14章 最強の教示
「……っ!?」
真っ暗な視界の中、急に横から聞こえた五条の声に驚く間もなく衝撃で吹っ飛ばされる。
蹴飛ばされたことは分かった。
受け身をとってすぐ立ち上がり、鬼切を構えるが、五条の正確な位置が分からない。
「鬼切は呪力を感知できるんだろ?ほら、僕の呪力を探すんだ。もっと集中して」
今は左前方から声がする。
五条先生は全身に術式を発動していると言っていた。
だったら呪力が全身から出ているはず。
これまでは呪霊の呪力しか探したことがなかったけれど、原理は同じはず。
集中して、五条先生の呪力を……
そう思ったのも束の間、ダンと床を踏む音がして、今度は真正面から突き飛ばされた。
「ぃ……っ」
「実戦形式なんだから、悠長に気配を探ってる暇はないよ?」
突き倒された身体を起こし、なずなは懸命に考える。
このままじゃダメだ……!
ずっと防戦していては五条先生に稽古をつけてもらっている意味がない。
もともと私は防戦だとあまり強くない。
体格的に不利になりやすい防戦を避け、攻撃的な剣術を心がけてきた。
でも目隠しされた状態ではとても攻勢に転じることができない。