第14章 最強の教示
そして次の稽古の機会は間もなく訪れた。
今回、五条となずなは道場のような内観の鍛練場に来ている。
「宿題、ちゃんと考えてきた?」
「はい……腕力、脚力、呪力の出力範囲、相手の先の動きを読む力、あとリーチと……その、いろいろ足りないです……」
五条が予想していた以上にいろいろ出てきたが、どれも期待したものではない。
「ブッブ〜!違いまーす!」
「え、えっと、じゃあ筋肉量とか体重、ですか……?」
よくここまで思いつくなと逆に感心するが、後から出てきた2つも残念ながら違う。
「違うよ、なずな。君に足りないのは術式の理解だ」
「理解……?」
「なずなの術式は鬼切の呪力を取り込んで自分の身体強化をする。でも君は漠然としかそれを理解していない」
なずなは目を見開いて、トンとこめかみを叩いた五条を見る。
正直なところ、全く思い至らなかったことだったし、どうしたら理解を深められるのかもさっぱり分からない。
「僕や恵みたいな相伝の術式だったら、術式の記録が残されているけど、なずなの術式はそうじゃないよね。まぁ過去に同じ術式を持った人はいたかもしれないけど、術式を持ってるからといって鬼切に選ばれるとは限らない」
この術式は、鬼切を持って初めて発覚する。
だから鬼切に選ばれないと術式を確かめることもできない。
そして、鬼切は術式関係なく使い手を選ぶのだから、術式の記録は残されていないと考えるのが妥当だろう。