第14章 最強の教示
だが、五条にはある確信があった。
鬼切は1000年前から呪力を溜め込んでいる呪具。
およそ人間には収まりきらない呪力量だ。
もしその鬼切の呪力を自在に出力できるようになったら?
なずなの伸び代はもっと広がるし、彼女が術師になった目的である鬼切の呪力消費も大きくなる。
そして出力が安定してくれば、黒閃を発動できる可能性も出てくるのだ。
「ハイ、それじゃ今日はここまで!」
「えっ!?」
「次からはビシバシ鍛えるからそのつもりでね」
なずなは突然切り上げられたことにオロオロと動揺している。
「でも次まで何もなしじゃつまらないか……よし、じゃあ宿題を出そう」
動揺するなずなを面白がって見ていた五条がひとつ手を叩き、人差し指を立てる。
「なずなは自分に何が足りないと思う?」
「えっと、足りないもの、ですか……?」
「そう、次の稽古までに考えといてね」
五条がまたねと手を振って出て行った後、残されたなずなは顎に手を当てて考えた。
自分に足りないもの……
例えば、伏黒くんと比べたら―……
虎杖くんや野薔薇ちゃんとはどうだろう?
先輩達とかとは……
……先代の鬼切の使い手だったお父さんと比べたら?