第14章 最強の教示
「黒閃は呪力のある人間なら、誰にでも起こり得る。ただ、なずなの場合、基本的な呪力の流れ方が普通とは逆だ。普通呪具に自分の呪力を流すけど、鬼切から君へ呪力が流れてる」
ここが少々厄介なところだ。
彼女が鬼切から呪力をもらうことに慣れすぎてしまい、出力が疎かになっている一番の原因。
それで普通に戦えているから、伸び代が少なくなっていることに気づいていない。
「鬼切は莫大な呪力を内包している。でも君は呪力出力量が小さいから、その呪力を十分に生かしきれていない」
なずなの呪力出力が低いのは、自分の呪力を出力する感覚しか持っていないからだ。
鬼切継承前の感覚がそのまま残っている。
だから、鬼切の呪力を十分に出しきれない。
「だからまずは鬼切の呪力を馴染ませる」
「馴染ませる、んですか……?」
「そう、鬼切の呪力を自分のものにするんだ」
「でも、私が使ってるのは鬼切の呪力なんですよね?自分のものにするって、そんなことできるんですか?」
「悠仁だって使っているのは元々宿儺の呪力だ。それでも黒閃は出せる。まぁ、なずなと違って悠仁は完全に宿儺の指を取り込んでいるから、厳密には同じじゃないけど、大体一緒だ。でも、今のままの認識じゃダメだろうけどね」
認識と言われてもなずなはピンとこない。
「君は自分の呪力と鬼切の呪力を別物だと考えてる」
「えっと、違うんですか……?」
戸惑う表情を見せるなずなに無言の笑顔を返しておく。
ここで何もかも詳らかにしても、おそらく彼女は変わらない。
何より面白くないし。