第14章 最強の教示
伏黒達と分かれたなずなは夕日に照らされた廊下を歩いていた。
共振の話には驚いたが、それは既に終わったこと。
虎杖には伝えないし、まして責めるつもりなど微塵もない、というのが3人の総意だった。
それとは別に、なずなは今回の任務について振り返る。
伏黒くんは宿儺の指を取り込んだ特級呪霊を、虎杖くんと野薔薇ちゃんは特級呪物の受肉体を倒した。
単独で特級呪霊を祓った伏黒くんと、受肉体2体を協力して倒した虎杖くんに野薔薇ちゃん。
それに比べて、私は何もできなかった……
入学した時点で、自分が皆より強くないことは分かっていた。
でも、高専に入学してから皆と同じ時間、強くなるために努力してきた。
それなのに、今回の任務で私は役に立てなかった。
時間をかけて努力して、なんとなく強くなったつもりでいたその間に、皆はもっとずっと強くなってた……!
私の中にあるのは焦りだ。
このままでは追いつくどころか、どんどん引き離されていってしまう。
そうしたら、ずっと足手まとい……?
そんなのは嫌だ。
皆の足を引っ張って、庇われて……私が弱いせいで誰かが傷つくなんて堪えられない。
だから、考え得る限りのことを考えた。
どうやったらより早く強くなれる?
どうしたら皆と肩を並べられる?
そうして考え抜いた結論がこれだった。
ガラリと教室の扉を開けると、目的の人物は椅子に座って待っていた。
「なずな、僕に折り入って話があるんだって?」
夕日が室内に差し込む中、五条がこちらを見て薄く笑んだ。