第13章 八十八橋の呪詛
受け取ろうと手を伸ばすと、そこに宿儺の口が現れ、パクリと指を飲み込んでしまった。
嚥下する音と共に虎杖にうっすら宿儺の紋様が浮き上がる。
「食うなっつったろ!!」
「え、俺ェ!?」
自我を乗っ取られることはなかったものの、虎杖は伏黒と野薔薇から総攻撃を食らい、思わず自分のせいではないと言いたくなる。
「コイツ、マジで!?今回もろくに働かねぇし!」
もう消失していたが、宿儺の口が出現した掌を見て悪態をつく。
初めて高専に来た時に五条から宿儺が力を取り戻すために指の在処を教えてくれると言われたが、今回も含め、そんな試しがない。
「……もしかして、五条先生って適当?」
今更である。
どうあれ、指の封印は不要になったので、4人は帰路を急ぐことに。
すると、頭上から……
「コラァッ!オマエらっ!!今まで何してたんスか!?電話しても繋がらないし、どういうことっスか!!」
新田の怒鳴り声が降ってきた。
上を向くと、スマホを振りかざした新田が橋の上いる。
連絡せずとも居場所を察して迎えにきてくれた……というよりは悪ガキ達を懲らしめに来たという方がしっくりきそうだ。
先程なずなの電話に出なかったのは運転中で気づかなかったためだろう。
「新田さん、す、すみません……!」
「あれはブチ切れてるわね」
さっさと上がってこいと怒りを露わにする新田になずなが頭を下げ、野薔薇も手を合わせて謝罪をアピールする。
「じゃ、帰るか!」
虎杖が伏黒に手を貸し、4人は八十八橋を後にした。