第13章 八十八橋の呪詛
「……新田さん、電話に出ない……寝てるのかな?」
早速なずなが電話してみるが、コール音が続くばかり。
このままだと自分達も無闇に動けない、と思ったところで、虎杖が自分を指差した。
「じゃあ俺が食べようか?」
どうせすべての指を食べなければならないのなら、どのタイミングで食べても同じでは、という発想で提案したが、3人の表情はいずれも否定的だ。
「残飯じゃねーんだよ」
「な、何か起こったら大変だし、やめといた方が……」
「でもこのままだと危ねぇんだろ?だったら、何が起こるか分かんないけど俺が食った方がまだ安全じゃね?たぶん大丈夫だと思うし」
虎杖自身にも根拠があるわけではないが、なんとなく指を食べても宿儺に体は乗っ取られない気がする。
「そ、そうかな……うーん、そうかも……?」
「やめろ、食うな。オマエの指の許容量はハッキリ分かってねぇんだ」
なずなは流されかけているが、伏黒は流されない。
しかし、新田に連絡がつかないとなると、こっちがホテルに戻ることになる。
それまでの間、呪霊が指に寄ってこない保証はない。
当然、引き寄せられた呪霊を返り討ちにするだけの余力がある者に指を預けるのが適切なわけで……
「一番元気そうなオマエに渡すしかねぇか……念を押すが食うなよ」
渋々といった様子の伏黒に虎杖は自分の信用のなさを感じざるを得ない。
犬並みの理解力だと思われてるな……