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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第13章 八十八橋の呪詛



「釘崎!!」

虎杖の声に呼応するように落ちた壊相の右腕に藁人形を重ねる。

「急かすなぁっ!」

そこへ五寸釘を打ち込んだ。


芻霊呪法

―共鳴り―



黒閃発動直後、呪力の核心を捉え、覚醒状態での渾身の共鳴りが、壊相の左胸を貫いた。


「クソッ……がぁ!」

呪詛返しの術式ではなかったのか……!


人質から手が離れた壊相の身体がぐらりと傾き、トラックの荷台から落ちる。

その先には虎杖が右拳に呪力を乗せて待ち構えていた。


「ごめん」


血塗と呼ばれていた弟が死んだ時に彼が見せた慈愛の涙―
思わず謝罪の一言を漏らした虎杖はその心臓に渾身の一撃を叩き込んだ。




「いってぇ……」

じりじりと己の拳と胸を苛む痛みに虎杖は眉を寄せた。











同時刻、都内某所―


「夏油、株券」

人生ゲームに興じている3人の男の内、真人が夏油に早くとせがむ。
そんな中、鼻を横切る一直線の刻印がある男が、進めようとしていた駒を指先で潰した。


「あーっ、コマ壊すなよ!」

真人が咎める隣で夏油は表情を変えずに尋ねる。

「どうした脹相?」

「弟が死んだ」

「そういうの、分かるんだ」

この脹相は呪胎九相図の受肉体であり、壊相・血塗の兄にあたる。

兄弟の絆か、はたまた呪胎九相図の呪いの影響か、脹相は弟2人の今際の際を感じ取ったのだ。

「どういうことだ?受肉体ならまだしも、2人が指1本分の呪霊にやられるとは思えん」

「待ってね……」


スマホを確認した夏油が瞠目し、すぐに薄く笑った。


「フフッ、報告が入ったよ。壊相・血塗を殺したのは、呪術高専1年ー虎杖 悠仁とその一派だ」


その言葉に予備の駒を探していた真人の手が止まり、顔を歪めて嗤う。






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