第4章 宿儺の器と鉄骨娘
伏黒が特級呪物の回収のために仙台へ行った日の夜、五条から着信があった。
携帯を確認すると画像付きのメール。
画像を開こうとすると、サイズが大きいのか、読み込みに時間がかかる。
「あ、やっと開いた……!?」
開いたのは、傷だらけで頭から血を流している伏黒の写真。
なずなの背筋が凍った。
「真希先輩!真希先輩!!」
泣きそうになりながら、ドンドンと隣室の戸を叩くと、髪を下ろした真希が何事かと出てくる。
「どうしたんだよ?」
「い、いま、伏黒くんが、大怪我してる写真が!ど、どど、どうすれば!?」
「……あー、さっき悟から送られてきたあれか」
慌てふためくなずなとは対照的に真希は冷静だ。
「よく考えてみろ。恵の写真を撮ったのは間違いなく悟だ。近くに悟がいて、かつ写真を送りつけるだけの余裕はあるってことだ。心配いらねぇだろ」
本当に危険ならリアルタイムで写真が送られてくることなんてない。
「そっか……そうですよね、お騒がせしました……」
すみません、おやすみなさいとなずなは部屋に引っ込む。
なずなにはああ言ったが、伏黒が大怪我をしているのは事実だ。
「ったく、あのバカ、送るなら2年以上だけにしとけっての」
真希はガシガシと頭を掻いて、自室に戻った。