第13章 八十八橋の呪詛
が、その更に後ろの木立から何か飛び出してきた。
「あ、釘崎、渡辺」
「あ、兄者」
虎杖と最初に乱入してきた呪霊だ。
もちろんコンプレックスと言っていた壊相の背中もバッチリ視界に入っている。
背中を見られた事実に壊相は目を見開き、やや遅れて噴出してきた怒りに震え始めた。
「み……」
「?」
壊相が怒りに身を震わせる理由が分からず、虎杖は固まる。
「み、見たなああぁぁあ!?」
その背中には大きな人面。
元々の色なのか充血しているのか、目は赤く、口から少量の血を吐いている。
あまりの激昂ぶりにその人面を観察する余裕もなく、目撃してしまった虎杖は慌て、虎杖に追いかけられていた呪霊も同時に狼狽えた。
「え、誰!?なんかゴメン!」
「ゴメン、兄者ァ!わざとじゃねぇ、わざとじゃねぇんだ!!」
「殺す!血塗、オマエも仕置きだ!」
生じた隙を見逃さず、野薔薇が釘を打ち込む。
「じゃあなんでそんな格好してんだよ?変な臭いはそれか」
「ムレるんだよ」
壊相が野薔薇を睨んだ。
野薔薇の攻撃にも少し呻いてぐらついた程度。
先程までの穏やかな口調は微塵もない。
壊相はぐぐっと背中を伸ばし、呪力を背面の顔に集め始めた。
何かするつもりだ……!
虎杖達3人は壊相から少し距離を置く。
「蝕爛腐術 極ノ番―翅王!」
背中の顔の目の部分から細く血が伸びて広がり、やがて蝶の翅を象っていく。
「バチ 殺 し!!」