第13章 八十八橋の呪詛
ただ1人結界内に残った伏黒は、玉犬・渾と連携して呪霊を次々と叩いていた。
結界内を縦横無尽に走りながら、目についた呪霊から黒刀で斬っていく。
これでラスト……!
伏黒は背後に頭を出した呪霊に黒刀を大きく振り抜いた。
「裏の取り方が単純なんだよ」
ボンッと音を立てて消えるのを見届けると、更に背後の穴からもう1匹飛び出してきた。
単調な動きは読みやすい。
「……言ったろ、単純だって」
伏黒を嘲笑っていたソレを渾が叩き潰す。
結界内にあった穴はすべて潰した。呪霊ももう出てこない。
これで全部祓えたか……
目を閉じ、フーッと息を吐く。
津美紀の方はこれでひと安心
後は―……
ピチョン、ピチョンと水が滴る音に気づき、伏黒は目を開けた。
天井に大きな穴が現れている。
穴の出口は塞がっているが、そこから液体が滲み出しているのだ。
中に何かいる。
生き残り……?
さっきのモグラが本体じゃないのか!?
結界も閉じない……何だ!?
穴が開き、中から何かの塊が落ちてきた。