第13章 八十八橋の呪詛
「釘崎、渡辺!?」
虎杖も異常に気づいた。
「おほっ、なんだぁ、兄者かよ!」
そう言って嬉しそうに駆け出した呪霊の後を慌てて追いかける。
「俺もっ!」
呪霊は野薔薇となずなが消えた岩壁に穴を空け、迷いなくそこへ飛び込んでいった。
「逃げた!?放っておいていいのか?」
「そのまま追え!」
予想外の動きに戸惑い、穴の手前で立ち止まった虎杖に伏黒の鋭い声が飛ぶ。
「釘崎と渡辺、あとさっきのヤツも結界の外に出たんだ。予想以上に面倒くせぇのとバッティングしてるかもしんねぇ!逆にコッチは想定よりずっと楽だ、1人でなんとかなる。釘崎と渡辺優先!追え!!」
「ヤバくなったら、伏黒も出てこいよ……!」
急かされた虎杖は右手から穴に沈めていく。
伏黒は心配する虎杖にしっしっと手を振った。
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「こんのっ、触んな!!」
野薔薇が身を捩り、五寸釘を打ち込むがひらりとかわされてしまった。
だが、同時に野薔薇となずなを掴んでいた手も離れる。
外れた五寸釘は川にぶつかり、水飛沫が上がり、自分達を引きずり出した手の正体、男性のシルエットが浮かび上がった。