第13章 八十八橋の呪詛
3人から引き離すように攻撃を畳み掛ける。
正体不明の敵も虎杖の動きに素直に釣られ、穴がない空間まで出た。
ここからは比較的気を遣わずに戦える。
相手は腕が長くリーチはそこそこあるが、殴りはそこまで痛くない。
それにこちらより遅く、足も短いからおそらく蹴りはない。
何より戦い慣れていないのか、動きに隙が多い。
虎杖は攻撃を避けながら、敵の顔や胴体に次々と拳を叩き込んでいく。
と、攻撃の最中、頬を膨らませたと思ったら、血を吐き出してきた。
虎杖は軽く壁を蹴って避け、その勢いで右頬に蹴りを入れる。
しかし虎杖の左腕も相手に捕まえられる。
「つかまえた」
すかさず掴まれた左腕を支えに両足で顔面を蹴りつける。
敵がたたらを踏んで後退ったところで、虎杖が先程吐かれた血がべっとりと付着した岩壁を横目で確認した。
ジュウと音を立てて溶けている。
アイツが吐いた血、何かな……?
毒かな……
「なんだぁ?強いなぁ……楽しくないなぁ」
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一方で伏黒達も呪霊を祓う。
なずなは1匹ずつ切り祓っていき、野薔薇が共鳴りを打ち込み、複数の穴が巻き込まれる。
が、すぐに別の穴から呪霊は顔を出してくる。
「数が多い……!」
思わずなずなが呻いた。