第13章 八十八橋の呪詛
「よっしゃ、じゃあ行くか!」
なずなの恐怖心はとりあえずなくなったと強引に判断して、虎杖は自分の拳を反対の手で握った。
全員で顔を見合わせ、意を決して川を跨ぐ。
川の対岸に足が着く前に、ずるりと視界が塗り変わった。
フジツボのような形状の穴がそこら中に空いた洞窟。
川を跨ぐ前まで見えていた橋はもう見えず、間違いなく呪霊の結界内だ。
「も、ももももう大丈夫っ、あ、ありがとっ」
これ以上は心臓が保たない……!
なずなは大慌てで繋いでいた手を離した。
手を繋いでいるとお互い戦闘に支障が出ることもあり、伏黒もなずながなぜか狼狽えているのはあまり気にしなかった。
そして少年院の時とは違い、呪霊はすぐに目の前にある穴から姿を現した。
「出たな」
「祓い甲斐がありそうね」
虎杖は拳を、野薔薇は金槌と五寸釘を、伏黒となずなはそれぞれ黒刀と鬼切を構えて呪霊を睨んだ。