第13章 八十八橋の呪詛
虎杖、野薔薇、なずなの3人は木に隠れ、音を立てないよう用心しながら進んでいた。
少し先には伏黒の背中が見える。
「……伏黒くん、私達に気づかないね」
「玉犬とかも出してねぇな。まぁ、呪霊が結界の中にいるって分かってるからかもしんねぇけど」
不用心というか、何でも卒なくこなす彼らしくない。
「これ、別に隠れなくても気づかれないんじゃない?」
木の影から様子を窺っている虎杖となずなに対して、野薔薇は憚ることなく茂みから出た。
声量もあまり落としていないが、伏黒が勘づいた様子はない。
「……伏黒、マジかよ」
虎杖も木立から出てきて愕然と呟く。
その後ろでなずなもわざと音を立てながら出てきた。
……だが、伏黒は全然気づかない。
「ったく、アイツ、あんな状態で呪霊を1人で祓おうとしてんの?バカじゃない?」
野薔薇が深いため息をついて頭を掻いた。
この調子では怪我をするどころじゃ済まないかもしれない。
やはり後をつけてきて正解だった。
「もうすぐ岸に出ちゃう。急ごう……!」
この中でも特に伏黒を心配しているであろうなずなが虎杖と野薔薇を急かし、3人は更に伏黒との距離を詰めにかかった。