第13章 八十八橋の呪詛
しかし、その真剣な表情はみるみる崩れ、最終的に眉を八の字にして、なずなはもじもじと手をこまねき始める。
「で、でも新田さんには黙って行くことになるから、怒られるかも……だから2人は……」
「残ってろって?それこそないでしょ。私も行くわよ」
「ま、怒られる時は全員仲良く怒られればいいんじゃね?」
普段冷静な伏黒があれほど取り乱す事態だ。
虎杖も野薔薇も黙って放っておくつもりは毛頭なかった。
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午後になって新田が戻ってきても、伏黒は帰ってこない。
それどころか、メッセージを送っても既読すらつかない状況だった。
いよいよ伏黒が単独で動こうとしていることが現実味を帯びてくる。
一方、3人が何やら画策していることなど露知らぬ新田は、八十八橋での肝試しの手順について、藤沼の言っていた通りのものであったことを確認できたと虎杖達3人に詳細を話し始めた。
そんな中、新田に電話がかかってくる。
「すいません、ちょっと外すっス」
席を外した新田の後を3人はこっそりついていく。
聞き耳を立てているのがバレるのはさすがにまずいので、新田に気づかれない場所に隠れる。
この位置からだと、新田の声はかろうじて聞こえた。
肝試しの手順を話しているようだ。
「……電話の相手、伏黒かな?」
「たぶんね、他にこんなこと話す相手いないでしょ」
「や、やっぱり伏黒くん、1人で行っちゃう気だ……!」