第13章 八十八橋の呪詛
「コラ!何だ君達は!他校の生徒が入っちゃいかん!!」
騒ぎを聞きつけたのか、校務員らしき初老の男性が足早にこちらにやってきた。
「アンタこそ何よ!」
「こ、校務員さんじゃないかな……?」
反抗するように声を張る野薔薇をなずながなだめようとする。
「なんで釘崎は強気なの?」
これには虎杖も呆れ顔になるしかなかった。
そんな中、新田が素早く間に入り、入校許可証を提示する。
「入校許可はもらってるっス」
「ああ、君達か……皆若いな。入校証は首にかけてくれないと」
入校証を確認した校務員の男性がぐるりと全員を見て、伏黒に目を留め、驚いたように瞠目した。
「伏黒君か!」
「……どうも」
卒業しても顔を覚えられていたことに、気恥ずかしさを覚え、伏黒は素気なく挨拶する。
「覚えられてるぅ〜」
聞き逃さなかった虎杖と野薔薇がすかさず茶化してくる。
「この人はこの学校長いんスか?」
「たぶん……武田さんは正規の方なんで」
「じゃ、後任せたっス!」
ぐっと親指を立てる新田を見て、思わず伏黒の頭には“職務放棄”という4文字が浮かんだ。
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伏黒は引き続き今回の事件の被害者について、何か呪いに繋がる手がかりがないか、武田に尋ねていた。
「金田、島田、大和、それに森下か……亡くなったことにも驚きだが、彼らが卒業してもう20年近く経つのか……」
勤務歴の長い武田は被害者4人の学生時代を知っているようだ。
「昨日のことのように覚えているよ。伏黒君ほどではないが、問題児だったからね。何が聞きたい?」
眉を下げて笑う武田に伏黒は片手を挙げる。
「変な噂、黒い噂、悪い大人との付き合い……」
「やーい問題児〜」
話の途中で茶々を入れてくる虎杖と野薔薇。