第3章 彼の心配の種
分かった。
さっきの脈動は鬼切が呪霊を感知したんだ。
これなら隠れている呪霊も見つけられる。
鬼切がより強く脈動する方へ走る。
呼吸をひとつ
1、2、3体、見つけた呪霊を切り払う。
墓石の上を飛び越え、次、奥の墓石の裏に1体。
5体祓ったところで、霊園全体の呪いの気配が消えた。
「……切れた?ちゃんと全部祓えた?」
なずなはホッと息をつくと、呪霊を祓ったときの気迫はどこへやら、また弱腰になっていた。
「思ったより全然動けるじゃん」
五条が満足げに笑う。
一方で伏黒はなんだか心配して損した気分だ。
正直、ここまで動けるとは思わなかった。
霊園に並んだ墓は刀を振るうときにかなり邪魔になるはず。
それをものともせず、しかも隠れた呪霊を見つけたそばから次々と祓っていた。
「呪霊のいる場所、分かるのか?」
「うん、呪霊に近づくと鬼切が脈打つの。それでなんとなく分かる……でも、さっきまでなんで脈打ってたか分からなくて、不気味だったから、なんでもないものにもびっくりしちゃった」
なずなが困ったように笑う。
2人が霊園を出ると、五条がひらひらと手を振っていた。
「なずなお疲れ〜、なかなかやるねぇ、これならすぐ三級に上がれそうだ」