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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第3章 彼の心配の種



墓を確認して回っていると、不意に何かが動いたような気がした。


「!?」


バッと振り向くとそこには風に揺れる木。
特に呪霊はいないようだ。

少し安堵して先に進む。


パキッ


「!……今度は何?」

音のした方に目を落とすと、足元に折れた枝。

自分で踏んでびっくりしてしまったのか。
少し気恥ずかしい。




しかし、なずなの中には不安が渦巻いている。

この霊園に入ったときから、自分のすぐ近くで何か動いているような気がするのだ。

辺りを見ても呪霊がいないので、なおさら気味が悪い。











「おい、もうちょっと落ち着け」

「ひゃあっ!?」

突然背後から聞こえた声になずなは度肝を抜かれた。
まるで耳元にあるかのように心臓がバクバクと鳴っている。

「ふ、伏黒くん!?」

「悪い、驚かせた……でもそんな調子じゃ呪霊が出たときに動けないぞ」

「う、うん……」


伏黒の言うことはもっともだ。
しかし、なずなの表情は固い。




ドクン


まただ。


気のせいじゃない。鬼切が脈打っている。

なんなの、これ?




顔を上げた先、墓石の影から呪霊が出てくる。

小さい。
四級クラスの呪霊だ。


「渡辺、動けるか?……!」


伏黒の横を影が横切った。

次の瞬間には呪霊が霧散する。


なずなが飛び出し、迷うことなく両断したのだ。

なずなの表情は真剣そのもの。
さっきまでの不安気な様子が嘘のようだった。




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