第13章 八十八橋の呪詛
「……で、同じ呪霊の仕業かって話っスけど、残穢だけだと、ちょっと断定はできなかったっス」
新田が話を戻して続ける。
「なんせ時間が空いてるし。そんで、3人の共通点を調べたんスけど、3人とも同じ中学に2年間在籍してたっス」
伏黒がタブレットに触れて、被害者の経歴の中学校の部分を拡大する。
確かに3人とも中学だけは同じだ。
他に共通点があるとすれば、年齢か。
全員34〜35歳、生年月日から同じ学年だということが分かる。
「……っていうと、昔3人が同じ呪いを受けて、時が経ってそれが発動したって感じ?」
野薔薇の推察に虎杖がおおっ!と感心して身を乗り出した。
新田もバックミラー越しに野薔薇に視線を送る。
「そうっス、それ濃厚っス。で、今からその中学と3人の被害者の共通の知人に話を聞くので、皆さんにも術師視点でいろいろと探ってほしいっス」
窓や補助監督の調査ではここまでが限界だった。
そのため、呪術師に調査段階から入ってもらうことで、いち早く事態解決につなげたい。
そんな新田の心の内を知らない虎杖は、事前情報だけで事件の概要を言い当てた野薔薇を純粋に称賛した。
「スゲー釘崎!」
「ふふん、当然!」
得意気な顔の野薔薇。
虎杖と野薔薇に左右から挟まれた伏黒は若干身を引きつつ、なんとなく車の天井を見上げる。
―さいたま市立浦見東中学校―
被害者が在籍していたという中学校の名前を確認した伏黒が小さくため息をついたのには誰も気づかなかった。