第13章 八十八橋の呪詛
「6月盛岡、金田 太一。8月横浜、島田 治。9月名古屋、大和 広……3人とも同じ状況で死んでるんスよ」
補助監督の新田明が運転する車に揺られ、1年生4人は埼玉県に向かっていた。
今回の任務は、3人の男を呪殺したと思しき呪霊の祓除。
後部座席の中央に座る伏黒は、タブレット端末で殺害された3人の経歴を確認している。
時期も場所もバラバラだが、3人とも殺された状況が酷似していた。
自宅マンションのエントランスで呪霊による刺殺。
さらに補足するように運転する新田から説明が入った。
「しかも全員、死ぬ数週間前からオートロックの自動ドアが開きっぱなしだって苦情を管理会社にチクってるっス」
3人とも別々のマンションに住んでいたが、それらのマンションの他の住人からは特にそのような苦情は入っていなかったようだ。
「でも日付も場所もバラバラ……同じ呪霊にやられたんですか?」
正直これらの情報だけでは同じ呪霊の仕業なのか断定はできない。
冷静に分析する伏黒の傍らで、虎杖が手を挙げる。
「なぁなぁ、自動ドアって呪霊のせい?呪霊ってセンサーとか引っかかんの?カメラとか映らねーよな」
「センサーじゃなくて、ドアオペレーターの方が呪霊の影響でバカになったみたいっス」
「へぇ、オ、オペレーター……」
まだ虎杖はあまり納得できていないようだ。
「ドアオペレーターは自動ドアの開閉の制御装置だよ。センサーは人に反応してドアオペレーターに信号を出してるけど、今回はそういう信号はなくて、呪霊の影響でドアオペレーターだけ動いたってことだと思う」
助手席に座ったなずなが振り向いて虎杖に解説する。
「あ、なるほどね。ポルターガイストみたいなもんか」