第12章 まさかの恋敵
『俺、何かしたか?最近、まともに話してないだろ』
「ううん、伏黒くんのせいじゃなくて……わ、私のせいなの……その、全部私が悪くて……ごめんなさい……」
『……どうしてそうなったのか、聞いてもいいか?』
決して責め立てるようなものではない穏やかな問いかけにトクンと心臓が跳ねた。
この気持ちを伝えたら、少しは前のように戻れるだろうか?
「わ、私……その、な、なんて言えば、いいか……」
しかし自分の思いとは裏腹に、どうしても言葉に出せない。
『今言えないなら、待ってる。だから無理して言わなくていいぞ』
沈黙してしまったのをフォローするような伏黒の言葉に、なずなの胸にあたたかいものが広がる。
「ご、ごめん……は、話せるようになったら、ちゃんと伝えるから……」
『別に責めてないから謝るな』
やっぱり伏黒くんは優しい。
握りしめすぎてグシャグシャになってしまったメモに目を落とす。
『電話なら前みたいに話せるか?』
電話は……きっと無理だ。
今だってカンペを用意しても、まともに読めなかったのだから。
「ぇ、と、電話は、ちょっと……ごめん。でも、メ、メールだったら、大丈夫……たぶん」
大丈夫だよね……?
文面を読むだけだし、返信だって考える時間がある。
『分かった。なら、メールにする』