• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第12章 まさかの恋敵



自室に戻ったなずなは、野薔薇に言われた通り、今日の感謝をメモに綴ると、それを握りしめて覚悟を決めた。


反対の手には携帯電話、
勇気を振り絞って伏黒の番号にコールする。



出てほしいような、出てほしくないような、そんな緊張感は長く続かなかった。


伏黒が1コールで出たのだ。



『渡辺?』

「ふ、伏黒くん、ぁの、そのっ……」


コールした時から緊張していたが、伏黒が電話に出たことで、余計に心臓がうるさく鳴り始めた。


耳元で聞く彼の声は心臓に悪い、と改めて自覚する。



握りしめてしまった手元のメモに寄ったシワを直しながら、懸命に文字を追う。


「き、今日は助けてくれて、ありがとう……私、その、す、すごく嬉しくて、あの、嬉しかったよっ……!」


言ってしまった後に冷や汗が出てきた。


……自分でもよく分からないことを口走ってしまった気がする。

嬉しくて、嬉しかったって……なに?

メモを見ていたはずなのに、全然読めてなかったし……



電話口から少し笑いを漏らしたような吐息の音が聞こえてきて、さらに恥ずかしくなってくる。


『……とりあえず安心した。俺のこと怖がってたみたいだったから、嫌われたかと思った』

「き、嫌いになんてならないよ!」


伏黒の意外な一言を、なずなは被せるように否定する。


そんなこと絶対にあり得ない。
むしろ、嫌われたらどうしようかと気が気ではないのは私の方。


……でも、最近の私の態度は、伏黒くんにとっては正反対の意味になってたらしい。



/ 1099ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp