第12章 まさかの恋敵
「先生ーっ!釘崎ーっ!!」
うだるような暑さで五条も野薔薇も木陰でダウンしている。
商店街から元気よく走ってくる虎杖を見て、野薔薇はうんざりと顔を上げた。
「……うっさいわねぇ、今暑くてなんもする気が起きない……」
「伏黒が逆ナンされてる!」
「!?」
その言葉に座り込んでいた五条も野薔薇もすぐさま立ち上がった。
3人はナルト走りで伏黒の所まで駆けていく。
―なずなのために逆ナンを阻止する―
口にせずとも虎杖の意図は野薔薇に伝わった。
ちなみに五条は10割からかいたいだけである。
「フォーメーションB!」
「承知!!」
事前に示し合わせたわけでもないのに、謎のフォーメーションが展開された。
商店街の大通りの只中、逆ナンされている伏黒に狙いを定める。
「伏黒きゅ〜ん!」
わざとらしく駆け寄った虎杖と野薔薇は、ガシィッと伏黒を掴んだ。
「何よ、その女!私の瞳に乾杯した夜を忘れたの!?」
「俺と一緒にいる時が一番楽しいっていうのは嘘だったの?」
「何?……マジで何?」
あの夜よ、あの夜!だの、ねぇ、笑ってよ?だのと口々に騒ぐ2人にまったく訳が分からない伏黒。
というか、体重をかけてくるな。
地味に身動きできない。
道を尋ねてきた女性も突然何が起こったのかと困惑している。