第12章 まさかの恋敵
顔を真っ赤にして走り去ったなずなを見て、思わず頭を抱えたのは野薔薇だ。
しまった……
なずなが伏黒を意識しすぎて避けるようになってしまった。
おそらく原因はこの前の追及。
アルバムを作った時に洗いざらい聞き出したのがまずかった。
こうなったら時間が解決してくれるのを待つしかないか……
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しかし、野薔薇の期待も虚しく、時間が経っても事態は一向に良くなることはなかった。
まるで伏黒の周りに結界でもあるかのように、なずなは一定の距離を置き、伏黒が近づこうとすると同じだけ離れる。
唯一距離が近くなる授業中でも、なずなは伏黒の方を見向きもしない。
いや、意識的に視界に入れないようにしている。
任務の時もお互いほとんど話さない……というより、なずなが一方的に会話することを拒んでいるようだった。
幸い呪霊との戦闘時はまだ大きな連携ミスはないが、いつそんな事態が起こってもおかしくない程、ギクシャクしていた。