第11章 いざ行かん、夢の国
TDLも閉園時間となり、帰りの電車を待つ駅で、野薔薇はググッと腕を伸ばした。
「遊んだわーっ!満足っ!!」
一日中TDLを歩き回った疲労も非常に効率よく回れた達成感と満足感でかき消えるというものだ。
「それにしても入場前の渡辺にはビックリだったな!」
今朝、入場ゲートに並んでいた時のなずなの様子を思い出して笑う虎杖に伏黒も野薔薇も全面同意した。
「ああ、目が本気だった……」
「ホント玄人って感じだったわよね。入場してすぐにあれだけ準備が要るとは思わなかったわ」
「そ、それは忘れてっ!」
なずなは無性に恥ずかしくなって、頬を赤く染めながら、どぎまぎと視線を泳がせる。
「そんな照れんなって。渡辺のお陰でスムーズに回れたんだし」
「そうだな、正直、2時間待ちとか覚悟してたけど、全然並ばずに済んで助かった」
虎杖が照れたなずなに笑いかけ、伏黒も小さく笑う。
今まで知る由もなかった同級生の一面に驚いたのは事実だが、なずながいなかったらここまで遊び尽くせなかっただろう。
「今日はありがとうね、なずな!」
「ありがとな」
「スゲー楽しかった、サンキュー!」
三者三様の言葉になずなも目いっぱい顔を綻ばせた。
「う、うん!私も皆と一緒に来れて、すごく楽しかったよ……!」