第11章 いざ行かん、夢の国
なずながデザートまで食べ終えるのを待ち、レストランを出た頃には、辺りはすっかり夜になっていた。
パレードの規制線が敷かれ、沿道には人がひしめいている。
「メチャクチャ人いるじゃん!」
「今からあの中入るのか……」
目を丸くした虎杖と眉根を寄せている伏黒に対し、座って休んだ上に腹ごしらえした野薔薇は少し元気を取り戻していた。
「これがラストスパートよ。さっさと空いてる場所探しましょ」
パレード開始まであと数分。
もう時間がないと焦るが、右を見ても、左を見ても人だかり。
「こっち!ちょっと空いてるかも」
4人それぞれがいい場所を探す中、なずなが見つけたのは、他と比べて人の密度がそれほど高くなっていない場所。
急いで3人を呼び寄せる。
「……なんとか見えそうね」
一番前までは行けなかったが、ここなら人の隙間からパレードが見られそうだ。
「俺らは結構余裕で見えるな!」
野薔薇となずなの後ろにいる虎杖が目の上に手をかざしながら笑う。
確かにこの辺りには背の高い人があまりいない。
虎杖、伏黒が一番高いくらいだ。
それが野薔薇にとっては非常に面白くなかった。
「ふざけんな、野郎共!今すぐ縮め!」
「痛ぇ!!」
野薔薇は悪態をつきながら、虎杖の脛を蹴りつける。
「ま、周りの迷惑になっちゃうから、やめよう……?」
「コイツらが無駄にデカいのが悪い」
「それ、俺達どうしようもなくない!?」
そうこうしているうちに、待ちに待ったパレードが始まった。