第11章 いざ行かん、夢の国
歩き詰めだったので、その足休め代わりに蒸気船に乗った後、鉱山列車のジェットコースターを制覇し、小腹が空いてくるとワッフルを買って食べ……と余すところなく堪能していく。
「やべー、皆すごい顔してる!」
木のイカダを模した乗り物に乗って、滝壺に落ちる瞬間の写真を虎杖が指差して笑った。
野薔薇は半目になっており、なずなは梅干しを食べたようなキュッと萎んだ表情。
虎杖自身は満面の笑顔だが、隣の伏黒から腕を押さえられていた。
座席の前にあるバーから手を離そうとしたのを止められたのだ。
面白かったのでその写真も購入する。
さらにエリアを移動し、幽霊屋敷のアトラクションに乗り終わった時に、全員の携帯に一斉に着信が入った。
見てみると案の定、五条からのメール。
「皆ズルい!」という文句の後にズラズラと続く恨み言のメッセージが返ってきていた。
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「もう足が限界かも……」
夕食のレストランで、とうとう野薔薇は椅子に沈み込んだ。
「たくさん歩いたもんね。でも、後は夜のパレードだけだよ。ここでゆっくりして、もう一息頑張ろう?」
野薔薇を労うなずなには、あまり疲労が見えない。
「なずなって、結構体力あるわよね……疲れてないの?」
「えっと、足が疲れることは分かってたから、スニーカーで来ちゃったし……」
歩き回るのもそうだが、列に並ぶことも多いTDLは、座って足を休めることがほとんどできない。
身をもってそれを知っていたので、なずなは歩きやすい靴を選んでいたのだ。
野薔薇もこんなことになるなら、今朝のなずなの忠告をもっとよく聞くべきだったと、少し反省した。