第11章 いざ行かん、夢の国
そこからは怒涛の勢いでアトラクション巡りが始まった。
流星山脈に始まり、シューティングや星間旅行、エリアを移動してのんびり小さな世界を楽しんだり……
ファストパスの時間を考慮して歩き回る中、少し時間が空いたタイミングで、すかさず野薔薇が写真撮影を迫った。
「ここからいい感じにお城が見えるじゃない。写真、撮るわよ!」
園内の中央にあるお城がきれいに入るよう、場所を吟味して、伏黒が構えたスマホのカメラを見ながら、なずなはここ、虎杖はこっちと指示を飛ばす。
納得のいく配置が決まり、野薔薇もなずなの隣に並んだ。
が、伏黒はなぜかスマホを構えた場所から動かない。
「伏黒、アンタまさか撮影係になるつもり?こっち来て一緒に写りなさい!」
少し気恥ずかしさもあって、伏黒はあまり写真に写りたくなかったが、野薔薇はそれを許さない。
「すいませーん、撮影してもらってもいいっスか?」
虎杖も持ち前のコミュニケーション能力を発揮して、他の客に声をかけ、伏黒の逃げ道を塞いだ。
パシャリとシャッター音。
念のため3枚ほど撮影してもらい、写り具合を確認した野薔薇は満足げにうなずいた。
撮影のお礼を言ってその場を移動するものと思ったが、なずなの予想に反して、野薔薇はスマホをいじっている。
「野薔薇ちゃん、何してるの?」
「満喫してる写真を五条に送りつけてる」
「五条先生、そういうの根に持つぞ」
意地の悪い笑みを浮かべて写真を送る野薔薇を伏黒がたしなめる。
どう駄々をこねるか、分かったものじゃない。後が非常に面倒くさくなりそうだ。